「ダイニン」による物質輸送速度の変化を発見
京都大学大学院理学研究科の日本学術振興会特別研究員であるナスリン・サエダ・ルバイヤ博士、同大学院理学研究科の角五彰教授らの研究グループは、星薬科大学薬学部、東京大学先端科学技術研究センターの山下雄史准教授、横浜市立大学大学院生命医科学研究科の池口満徳教授、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の鳥澤嵩征研究員(現国立遺伝学研究所)と大岩和弘主管研究員と共同で、微小管に引張応力を与えた際のモータータンパク質による物質輸送速度の変化について研究した結果、微小管が引張応力(引っ張り)によって変形することを発見したと明らかにした。この発見は、物質輸送の促進や阻害が関与する神経疾患などの治療への貢献につながるとしている。
研究チームは、独自開発した伸展機構を介し、微小管に定量的な引張応力を加え、ダイニンモーターによる物質輸送を観察。高度な蛍光顕微鏡イメージング技術と定量的に引張応力を与える技術を使用し、シリコーンゴム基板上で引張応力を微小管に加えた。この結果、一定以下の引張応力下ではダイニンの物質輸送速度の向上を示したが、一定以上の引張応力では輸送速度が減少することが示された。このことは微小管の変形やダイニンと微小管の相互作用の変化が輸送速度の変化を引き起こすことを示唆しているという。これらの発見は、細胞内の力と分子モーターの相互作用に関する新たな知見をもたらし、細胞内物質輸送を維持する上での微小管の力学特性の重要性を浮き彫りにしたとしている。
本研究は、京都大学研究支援・実験補助者雇用制度、文部科学省日本学術振興会科学研究費助成事業)、東京大学GAPファンドプログラム、および国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の助成を受けたもの。また、東京工業大学のスーパーコンピュータTSUBAME3.0を利用して実施した。
(全文は8月23日付紙面に掲載)
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